2012-12-05 ウサギの去勢手術

今日はウサギさんの去勢手術についてお話します。

雄の生殖器の病気には、中齢期の精巣・精巣上体炎や高齢期の精巣腫瘍があり、
その治療や予防を目的として去勢手術は実施されます。

また、一部ではマウンティングなどの行動抑制効果もあります。
予防的な去勢手術は6ヶ月齢から3歳までに実施します。

当院では、去勢手術を含む全身麻酔が必要なウサギさんの
手術時には可能な限り、気管挿管を実施します。

マスク麻酔よりもガス麻酔の濃度が安定し、手術中の急な痛みを起こし難いからです。

陰嚢皮膚を左右2ヶ所切開し、中の精巣を摘出します。

精巣は赤ちゃんの時はお腹の中にあります。

ウサギさんでは、通常6ヶ月齢までに陰嚢内に精巣が降りてきます。
その時の通り道が、ウサギさんでは大きく開きっぱなしに通常なっています。

そのため、去勢手術をすると、その道の蓋となっていた精巣がなくることとなり、
内臓が陰嚢内に出てくるヘルニアを起こすことがあります。

それを防ぐため、当院では精巣摘出後、精巣を包んでいた膜を剥離し、
根元の細いところで結紮し、陰嚢内に内臓が出てきにくいようにしています。

皮下組織を1糸寄せてから、
皮膚の切開部を外科用アロンアルファで接着して手術終了です。

このウサギさんは3歳のミニウサギさんでしたが、
牧草が好きではなくなかなか食べてくれません。

去勢手術前健診で、奥歯(臼歯)の歯肉から歯が出てる長さ(歯冠)が長く、不整で
あったため症状はまだ出ていませんでしたが、去勢手術時にドリルで削りました。

奥歯(臼歯)がひどく伸びてしまった時は、削るには全身麻酔が必要となります。
ウサギさんは前歯(切歯)だけでなく、奥歯(臼歯)も生涯伸び続けます。

伸びすぎてしまうと、痛くてごはんが食べられなくなってしまいます。
そのため、牧草などの繊維が固い食べ物を食べさせ、伸びすぎないようにします。


エキゾチックペット診療室 室長